菅原会計事務所ブログ
2016年7月27日 水曜日
法人税通達Q&A 減価償却 その2
Q2 当社は、一括償却の対象とした器具備品を資産として計上しています。今期において、その一部を除却したのですが、一括償却資産については除却損の計上ができないといわれました。
このままでは簿外資産になってしまうのではないでしょうか?
A2 税務上、一括償却の提供を受けている資産については除却損の計上は認められません。そこで、会計上は除却損を計上し、申告調整で除却損否認の調整をすることになります。
法人が一括償却の適用を受けている場合には、その一括償却資産の全部または一部について譲渡、滅失、除却等の事実が生じた場合であっても、その各事業年度において損金に算入される金額は、一括償却限度額に達するまでの金額となります。したがって、税務上は一括償却資産についての除却処理は認められません。
一括償却の規定が設けられた趣旨は、少額の減価償却資産について法人が個別に固定資産として管理することによる事務負担に考慮したものです。このことからすれば、事業供用時に個別管理せず、除却等の時点のみ個別計算を認めるのは矛盾しており、供用事業年度後の個々の資産の状況にかかわらず損金算入限度額の範囲で損金算入を行うべきです。
一方、会計上一括償却資産を資産計上した場合において、除却等の事実があったにもかかわらず除却等の処理をせずに放置すれば一種の架空資産になってしまいます。これは、会計上重要性の原則から本来資産計上すべきでないにもかかわらず、あえて資産計上したことによるものです。
そこで、会計上は除却等の事実が生じたときに、その資産の帳簿価額の全額を除却損等として損金経理すべきです。そして、申告調整の段階で、除却損等として損金経理した金額のうち一括償却限度額を超える部分を損金不算入として加算する、いわゆる自己否認の方法をとることがよろしいと考えます。
投稿者 菅原会計事務所