菅原会計事務所ブログ

2016年9月16日 金曜日

法人税通達Q&A「減価償却」その7

人税通達Q&A「減価償却」その7  

Q8 会社の原価計算上は、一括償却資産について消耗品費として織り込みました。申告調整額は、原価差額とする必要がありますか?

A8 法人の算定した製造原価の額が、適正な原価計算基準に基づくものであるときは、その算定した製造原価の額を持って税法上の製造原価の額とみなします。したがって、製造原価に一括償却資産の取得価額の全額を消耗品費として織り込んだ場合には、特に申告調整額は原価差額として調整する必要はありません。

 製造業におけるたな卸資産の取得価額は、原則として実際原価によるものとされています。したがって、法人の算定した原価の額が実際原価の額と異なるときは、その差額が原価差額とされ調整を要することになります。しかし、法人の算定した製造原価の額が、適正な原価計算基準に基づいていれば、算定した製造原価の額をもって税法上の製造原価とみなされます。よって、この場合には原価差額は生じないことになります。法人の算定した原価の額が適正な原価計算に基づいて算定されているかどうかは、法人の種類、業態、規模等の実情に応じ、一般に実施されている原価計算の方法によっているかどうかにより判定されますが、特に原価差損についてはその差額が少額でない場合には調整すべきです。

 一括償却資産を消耗品費として製造原価に織り込み申告調整する方法を採用した場合、法人が算定した期末たな卸資産の価額は、法人税法の規定する原則的取得価額を超えることになり、この差額がいわゆる原価差益です。原価差益は原則として調整する必要はありませんが、法人税法等の規定により損金の額に算入されないため、確定申告に際して自己否認した金額からなる部分については、申告書において調整を行うことができます。

 以上のことから、会計処理を税務に合わせる必要は全くありません。また、一括償却資産を資産計上し、償却費相当額を製造原価に織り込んだ場合には、原価差額は生じません。

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投稿者 菅原会計事務所

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