法人税

2014年12月25日 木曜日

貸倒引当金の取り扱い その3

個別評価の貸倒引当金について今回は長期棚上げ基準と実質基準を取り上げます。申告や節税の確認にお役立てください。
2、長期棚上げ基準
(1)設定事実
法人の有する金銭債権が次の事実に基づいて棚上げ又は年賦償還されることとなったこと
① 法令等による整理計画の認可決定
② 私的整理における債権者集会の協議決定等
③ 国外の債務者についてその国の倒産法制による法的整理等
(2) 繰入限度額
設定事実発生事業年度末から5年 - 質権抵当権等によって担保されて
以内に弁済される部分以外の金額   いる金額

3、 実質基準
(1)設定事実
① 債務超過の状態が相当期間継続し、好転の見通しがないこと
② 災害・経済事情の急変等により多大な損害が生じたこと
これらの事由によりその金銭債権の一部の金額につき取り立て等の見込みがないと認められる場合(2の棚上げ部分を除く。)
 *担保物の処分によって得られる金額以外に回収が困難になった場合において、その担保物の処分に日時を要する場合を含む。
(2) 繰入限度額
取立て等の見込みがないと認められる金額
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投稿者 菅原会計事務所 | 記事URL

2014年12月24日 水曜日

貸倒引当金の取り扱い その2

「個別貸倒引当金繰入限度額」 
法的にまだ債権は消滅していないものの、事実上の倒産に至る事由が生じた場合に形式基準によって50%の引き当てが認められています。

1、形式基準
(1)設定事実
① 会社更生法・民事再生法他の法令による整理手続開始の申し立て
② 手形交換所等の取引停止処分(期末までに不渡りをだし、申告期限までに取引停止の場合を含む(法人税基通11-2-9))

(2) 繰入限度額
(個別評価金銭債権-取立等見込み額)×50%

(3) 個別評価金銭債権
貸倒損失の対象となる金銭債権に同じ

(4) 取立等見込み額
①債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権とみられない部分の金額(支払手形を除く)(法人税基通11-2-7)
②質権・抵当権等によって担保されている部分の金額(抵当権は担保物の時価と設定債権額といずれか少ない金額)(法人税基通11-2-5)
③金融機関等によって保証されている債権(金融機関・保証機関等公的機関の保証に限る)
④第三者振出手形  

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投稿者 菅原会計事務所 | 記事URL

2014年12月22日 月曜日

貸倒引当金の取り扱い その1

法人税における貸倒引当金の取り扱いです。決算処理の実務や申告書作成にお役立てください。

「個別貸倒引当金の繰り入れ」
 貸倒れには至らないものの手形交換所の取引停止など特別な事由が生じた不良債権について、部分的・暫定的な貸倒れとして個別貸倒引当金の繰入を認めています。
「個別貸倒引当金繰入額の損金算入」
1、適用要件
(1)対象法人・・・平成24年4月1日以降開始事業年度より資本金1億円以下の中小法人・銀行・保険会社等所定の法人
(2)設定目的・・・個別評価金銭債権の損失の見込み額に充てるため
(3)経理要件・・・損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れること
(4)書類保存・・・貸倒れその他これに類する事由が生じている事を証する書類その他
         *宥恕規定あり
2、損金算入額
損金経理額-繰入限度額=(+)個別貸倒引当金繰入超過額
              (-)繰入不足額→調整なし
3、 申告要件
(1) 損金算入に関する明細の記載
(2) 宥恕規定あり
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2014年12月16日 火曜日

貸倒損失の取扱い その2

貸倒損失の要件のうちでもっとも適用例の多い形式基準による貸倒です。節税や申告の際に確認にお役立てください。

「売掛債権の特例」 基本通達9-6-3
1、売掛債権等の特例・・・売掛債権について損金経理を要件とし、備忘価額を控除した残額が損金として認められます。
(1)債務者との継続的取引停止以後1年以上経過した場合(担保物がある場合は処分後)。
(2)同一地区に有する売掛債権の合計が、取立費用の額に満たない場合で、督促しても弁済がないこと
 
*1売掛債権・・・売掛金・売掛金債権に基づいて受け取った受取手形・割引手形・裏書手形が対象
    貸付金や融通手形等は対象外
*2 取引停止の取引日は、通常最後の商品引渡し日だが、それ以降に代金回収している場合にはその日。∴最後の商品引渡し日と最後の代金回収日とのいずれか遅い日 
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投稿者 菅原会計事務所 | 記事URL

2014年12月15日 月曜日

貸倒損失の取扱い

法人税における貸倒損失の取り扱いを説明します。貸倒の要件については、国税庁の通達で厳格な要件が記載さられており、実務上可否をめぐって問題となりがちです。申告や節税の際の確認にお役立てください。

貸倒損失の取扱い

 法人税法における貸倒損失は、利益操作につながりやすいため、全額回収不能が条件になるなど事実認識が厳しく、基本通達に三つ限定列挙されているに過ぎません。部分的な回収不能に対処するため、通常の貸倒引当金のほかに個別評価の貸倒引当金の繰入が認められています。

「法的な債権の消滅」基本通達9-6-1
1、法的な債権の消滅・・・金銭債権について切り捨てられ又は免除した金額は、貸倒損失として強制計上されます。
(1) 更生計画の認可決定等法律上の会社整理手続またはそれに準ずる関係者の協議決定により債権の切捨てが決定された場合
(2) 債務超過の状態が相当期間継続し弁済が困難と認められる場合に、債務者に対し書面によりした債務免除額

留意点 ゴルフ会員権
 預託金返還請求権の全部又は一部が顕在化した場合において、顕在化した部分について貸倒損失又は貸倒引当金の対象とすることができます。

「全額回収不能の場合」基本通達9-6-2
1、全額回収不能の場合・・・金銭債権について損金経理を要件として認められています。
債務者の資産状況・支払能力等から見て全額回収不能が明らかなこと。担保物がある場合にはその処分後でないと適用できません。

留意点 保証債務の取扱い
  保証債務は、保証債務を履行した後の求償権について貸倒れ等の対象となります。

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