法人税

2015年6月29日 月曜日

「寄附金の損金不算入」・・・その1

今回から法人税における「寄付金の損金不算入」制度を取り上げます。

1、概要
  寄附金は反対給付を伴わない一方的な支出であり、一般に法人の事業と全く関係が乏しい無償の支出をいうものとされています。したがって、寄附金のうち事業関連性のないものは、損金性を有しないものとして損金不算入とすべきであるとされますが、事業との関連が明らかでないもののうち、事業活動の円滑化のための無形の広報活動、近隣同士のつき合い、企業としての公的責任たる慈善事業等への寄附金などは事業上の経費として損金算入すべきです。
  法人税では、事業関連性の有無を個別に判断することは困難であるため、第一にその判断を法人の経理に求め、第二に形式基準による損金算入限度額を設け、これをこえる部分の金額は業務に関連のないものとして損金不算入としています。
 また、無制限に損金算入を認めると、国が肩代わりする結果となるため損金算入に制限を設けていますが、一方で国等に対する寄附金・指定寄附金・特定公益増進法人等に対する寄附金には損金算入の特例を設けています。

2、意義及び範囲
(1)意 義
  寄附金とは、基本的には民法上の「贈与」に該当すると考えられているが、贈与のうち営業経費は寄附金から除外されています。さらに税務独自の概念として、経済的利益の無償供与・低額譲渡等、みなす寄附金などが含まれています。したがって、寄附金の税務上の解釈としては、「支出に対する直接の対価たる反対給付がない支出のうち営業経費以外のもの」を意味するが、贈与等をするに至った動機(過去の返礼、将来の営業に対する捨金等)は問わないとされています。
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2015年6月22日 月曜日

「繰延資産」・・・その4

「繰延資産」・・・その4は、繰延資産の償却期間を取り上げます。

5、償却期間
1、公共または共同的施設負担金・・・負担者専用=7/10(一般4/10)
                  負担者共同=7/10(会館建設負担金10年)
                  一般公衆用= 5年(耐用年数)
2、資産賃借のための権利金
(借家権利金)     新築  =7/10「建設費大部分」
            借家権転売可=7/10「見積残存耐用年数」
            上記以外 = 5年(賃借期間)
 (電子機器賃借の際の付随費用) =7/10(賃借期間)
3、ノウハウ等の役務提供      = 5年(有効期間)
4、広告宣伝用資産の贈与      =7/10(5年)
5、 その他       同業社団体= 5年(出版権3年)

6、分割払いの繰延資産
1、原則(基8-3-3)
総額を未払い金に計上して償却することはできません。
2、短期分割払いの特例(基8-3-3)
 おおむね3年以内である場合には、未払計上が可能です。
3、長期分割払いの負担金の損金算入(基8-3-4)
 次の要件満たす場合には、支出時の損金とされます。
(1) 公共・共同的施設の負担金
(2) 支払期間が償却期間以上
(3) 支払額がおおむね均等
(4) 徴収が工事着工後
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2015年6月18日 木曜日

「繰延資産」・・・その3

3 償却限度額
1、任意償却と均等償却の区分
会社法上の繰延資産について随時償却を認めたのは、均等額以上の早期償却が要求されており、一種の自由償却となっているので、税法でも会社法との調整を図ったものです。
(1)任意償却
  償却限度額=その繰延資産の額-すでに損金の額に算入された金額
(2)均等償却
   会計的にみれば無形固定資産に準ずるものと考えられるため定額法と同様の均等償却を要求しています。

                         当期の月数(支出日から期末まで)
  償却限度額=その繰延資産の額×―――――――――――――――
                         支出の効果の及ぶ期間の月数
  支出日の特例...固定資産を利用するための繰延資産については、その固定資産の建設等に着手されていないときは、着手した日から償却する。(支出日と着手日のいずれか遅い日)

4、少額繰延資産 の損金算入(令134)
「適用要件」
(1) 均等償却を行う繰延資産となる費用であること
(2) 支出額が20万円未満であること
(3) 支出事業年度に損金経理すること
  「均等償却を行なう繰延資産」ではなく、「均等償却を行なう繰延資産となる費用」が対象となっています。損金算入するためには、その支出する金額の全額を支出事業年度に損金経理することが条件であり、支出額の一部を損金算入することはできません。
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2015年6月15日 月曜日

「繰延資産」・・・その2

3、税務独自の繰延資産(令14九)
  これに対し、法人税においては、適正公平な課税を究極の目的にしているため、将来に効果が及ぶようなものは、費用収益対応の観点から原則的には資産計上することを要求し繰延資産として幅広く拾いあげ、一時に費用化するのを防ごうとしています。それでも、会社法と同一項目の繰延資産については会社法との調整上随時償却を認めています。

① 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
② 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用
③ 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
④ 製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与することにより生ずる費用
⑤ ①~④の他、自己が便益を受けるために支出する費用

税法上の繰延資産は、会計的にみれば無形固定資産に準ずるものと考えられるが、所有権又は法的保護を有しないため譲渡対象とならないことなどから無形固定資産としていません。

2 償却費の損金算入
(1)損金算入
   償却費として損金経理した金額(確定した決算において償却費として費用計上した金額)のうち、償却限度額まで損金算入されます。

(2)繰越償却超過額
   「償却事業年度前の各事業年度におけるその繰延資産に係る損金経理額のうち償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかった金額」は「繰越償却超過額」であり、損金経理額には、この繰越償却超過額が含まれます。
繰越償却超過額は、税務上損金に算入されず、資産の帳簿価額を構成するものであるので、償却超過額が生じたときには、その部分の金額は帳簿価額から減額されてないものと考え、そして、その後の事業年度でその償却超過額部分を損金経理により減額したものと解釈します。
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2015年6月11日 木曜日

「繰延資産」・・・その1

法人税における繰延資産の取り扱いについて取り上げます。

「繰延資産」
(1)性 格
   繰延資産は、換金価値を有するものではなく、繰延べられた費用です。損益計算を重視する立場からは計上されるべきものではありますが、会社法では計上を認めつつも早期償却を要求しています。
(2)法人税法上の取扱い
   減価償却と同様、繰延資産の償却についても債務確定基準の適用から除外しているため、原則として公正妥当と認められる会計処理の基準に従って損金算入額が決定されることとなります。しかし、その範囲を明確にする必要があること、また内部取引事項であるため恣意的計算が行われやすいことから、その範囲を法定するとともに損金算入の制限を別段の定めとして規定しています。

1、繰延資産の意義
税法上の繰延資産の意義は、法人が支出する費用のうち効果が1年以上に及ぶもので、前払費用に該当しないものです。また、資産の取得に要したとされるべき費用も除かれますが、この資産は、繰延資産以外の取得と考える必要があります。
  なお、「支出する費用」となっているが、分割払いの繰延資産について総額による計上が認められているように、必ず支出していなければならないものではありません。したがって、「支出した費用」ではなく、「支出する費用」となっています。

2、会社法上の繰延資産
会社法上の繰延資産は、換金性のない擬制資産にすぎないため保守主義の観点から原則として費用とし、5種類に限定して資産計上を認めていますがその場合にも早期償却(5年又は3年内の均等額以上の償却)を要求しています。

「(1)創立費(2)開業費(3)開発費(4)株式発行費(5)社債等発行費

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