法人税

2015年7月27日 月曜日

「受取配当等の益金不算入制度」・・・その2

2、 益金不算入額(法23①)
(1)益金不算入額
 内国法人が受ける3の配当等の額のうち、完全子法人株式等、連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等に係る配当等の額の50%相当額は、益金の額に算入しません。

  法人が余剰資金を株式に投資して運用するか、公社債等に投資して運用するかは法人の任意ですが、株式の配当金は益金不算入(非課税)、公社債の利子や銀行預金の利子は益金算入(課税)というのは不公平とも考えられます。そこで現在は配当金のうち50%を非課税とし、50%は課税することとしています。

(2)関係法人株式等の100%益金不算入
内国法人が受ける3の配当等の額のうち、完全子法人株式等、連結法人株式等及び関係法人株式等の配当等の額は、益金の額に算入しません。

  本支店形態の場合は法人税が一度課税されるだけですが、親子会社形態の場合には親会杜に所得を帰属させるため配当金に対し50%課税を行うと本支店形態の場合との均衡が保てません。そのため、親子会社間の配当金(特定株式等に係る配当金)については、100%益金不算人としています。

*①関係法人株式等
 関係法人株式等とは、内国法人が他の内国法人の発行済み株式等の25%以上に相当する株式等を有する場合の株式等をいいます。
*②完全子法人等
完全子法人等とは、配当等の計算期間の開始の日から末日まで継続してその内国法人との間に完全支配関係にあった他の内国法人の株式等をいいます。

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投稿者 菅原会計事務所 | 記事URL

2015年7月21日 火曜日

「受取配当等の益金不算入制度」①

今回から「受取配当等の益金不算入制度」を取り上げます。法人税の節税・決算対策にお役立てください。

1、趣旨
(1)支払側の課税関係
配当(法人が行う利益又は剰余金の分配)は、支払側において資本等取引として損金の額に算入されません。このことは、企業会計において利益処分によることと同様であり、配当は支払側において法人税をすでに負担していることになります。

(2)益金不算入とする根拠
①法人が他の法人から配当を受取るということは、発行法人側で一旦法人税が課税され法人税課税後の所得を配当し、それを受取ったということを意味します。すると、発行法人側で一旦法人税が課税され、さらに、受取法人側で法人税が課税されると、同一所得に対して二重に法人税が課税されることとなってしまいます。そこで、受取法人側で益金不算入とすることにより、二重課税を排除することとしています。

②我が国の法人税は「法人は個人株主の集合体であって、法人税は個人に対する所得税の前払いである(法人擬制説)」という考え方をとっています。この考え方によると、法人の所得は必ず最終的に個人株主に配当という形で行き着くことになります。しかし、株式の発行法人の所得に対しては法人税が課税され、残りの法人税課税後の所得から配当を受けた個人株主に対して所得税を課税すると、法人税と所得税の二重課税になってしまいます。そこで、所得税の計算では、配当控除という制度を設けてこの二重課税を排除しています。
この場合に、その配当が一旦、他の法人株主に分配され、そこで、法人税が課された後に個人株主に分配されると、個人株主に配当が行き着くまでに、法人税が2回課税されることとなってしまい、個人株主の段階で配当控除をするにしても、その計算が煩雑になります。そこで、法人から個人株主に至るまでの法人税の課税を1回だけにし、配当控除率の計算を単純にするため、法人が他の法人から受取った配当については、益金不算入とすることとしています。
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投稿者 菅原会計事務所 | 記事URL

2015年7月15日 水曜日

「寄附金の損金不算入」・・・その6

「寄附金の損金不算入」その6

5、子会社整理等の場合の債権放棄他

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6、国外関連者に対する寄附金の特例
   法人が海外の関連企業(国外関連者という。)との間で行う取引価格を操作することにより、所得を海外に移転することを防止するため、国外関連者に対する資産の低額譲渡等による贈与費用は、「移転価格否認」として全額損金不算入とされます。これを移転価格税制といいます。この規定との整合性を図るため、国外関連者に対する寄附金の額はその全額を損金不算入とすることとしています。

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投稿者 菅原会計事務所 | 記事URL

2015年7月14日 火曜日

「寄附金の損金不算入」・・・その5

「寄附金の損金不算入」・・・その5は、国等に対する寄付金の損金算入について取り上げます。

(4)指定寄附金等及び特定公益増進法人等に対する寄附金の特例(法37③)
①国等に対する寄附金
  国又は地方公共団体(港務局を含む。)に対する寄附金は、租税と同様、国等に帰属することとなるため全額損金算入されます。
なお、自己が便益を受ける公共的施設の設置又は改良のために要する費用は繰延資産とされ、資産の対価性を有する場合には取得価額に算入されることになります。

②指定寄附金
財務大臣が職種に基づき、又は募金者からの申請に基づき指定告示した寄附金は、公共又は公益のために特に必要と認められるもので、法人の事業関連性とは関係なく政策目的の点から全額損金算入されます。

③特定公益増進法人等に対する寄附金
  特定公益増進法人等に対する寄附金は、指定寄附金に比較すれば緊急性は薄いが、一般の寄附金と同様に扱うことも適当でないことから、その公益的支出に対する企業の社会的責任を助長する意味で、一般寄附金と別枠で損金算入限度額を設けています。
*特定公益法人に対する別枠の損金算入限度額 =( 資本基準+所得基準 )×1/2
・・・一般の寄付金と特定公益増進法人に対する寄付とがある場合の損金不算入額の計算
 支出寄付金-(損金算入限度額+特定公益増進法人に対する別枠(特定公益増進法人に対する寄付金の額の範囲内))=損金不算入額

①~③の規定は、確定申告書に金額の記載及び明細書の添付があり、かつ、一定の書額を保存している場合に限り、記載金額を限度に適用します。ただし、税務署長がやむを得ない事情があると認めるときはこの限りではりません。
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2015年7月 8日 水曜日

「寄附金の損金不算入」・・・その4

「寄附金の損金不算入」・・・その4は、損金不算入額について取り上げます。

2、 経理別の取扱い
(1) 未払経理の場合...支出年度に認識
    未払い計上年度⇒未払寄附金否認 支払年度⇒前期未払寄附金認容
(2) 手形払寄附金...決済年度に認識
    手形発行年度⇒手形払寄附金否認  決済年度⇒前期手形払寄附金認容
(3) 仮払寄附金...支出年度に認識
    仮払年度⇒仮払寄附金認定損   消却年度⇒全期仮払寄附金消却否認
(4) 指定寄附金等の利益処分経理...支出事業年度に認識
    利益処分経理年度⇒調整なし    支出年度⇒利益処分寄附金認容

4、損金不算入
(1)概 要
  寄附金についての損金的判断は、理論上個々の業務関連との関係によるべきであるが、事業活動に必要な部分を個々に区分することは困難であるため、形式基準により損金算入限度額を定めています。

(2)支出した寄附金
  現金主義を採用しているため「支出した」寄附金の額について規定しています。債務確定基準による他の費用は、通常「支出する」などと規定されています。

(3)損金算入限度額(令73)
  法人の規模(資本基準)と支払能力(所得基準)から定められており、これらの合計の4分の1を算出します。
内国法人が支出した寄附金の額(3及び8の寄附金の額を除く。)の合計額のうち、次の損金算入限度額を超える部分の金額は、各事業年度の損金の額に算入しません。
                          
損金算入限度額=( 資本基準+所得基準 )×1/4

                          その事業年度の月数     2.5
 資本基準= 期末資本等の金額×―――――――――――― ×―――
                                 12         1、000
                                    2.5     
    所得基準=  その事業年度の所得金額×――― )
                    (寄附金支出前)     100     
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